【函館料理学会2016】食のプロ!有名シェフ・料理人の方々の技・思い④

プロの技

フロリレージュ 川手寛康シェフ〜one man’s trash, another man’s treasure〜

フロリレージュからは川手シェフもご登壇!!一度訪れてみたいと思っていたレストランですが、予約もなかなかできないこともあって断念していたのですが、川手シェフのご講演を伺ってますます訪れたいと思いました。

まず冒頭で流れたのはSteve Cutts氏のこちらの動画

2100年には100億人にも膨れあげるという地球の人口

枯渇し続ける水産資源

世界の土壌資源の33%が劣化している中、農地面積の増大は不可能

こうした人口増の中の資源確保が問題視されている中、

毎年世界で作られる食材資料の3分の1が廃棄

廃棄される食料農地4ぶんの1でも有効利用できたら飢餓の方をまかなえる

と言われているのだそうです。

世界一のフードロス大国日本

その中でも日本はフードロス世界一といわれ、その廃棄量は年間600万トン以上。年間の米の消費量が800万トンと言われていますから、それに迫る量です。

今回開催場所の北海道に関しては野菜の生産量日本一。2位の茨城県の倍以上の量で日本の野菜市場を支えています。

しかし、17パーセントが規格外などで破棄されているそう。

前々からこの課題に対して問題視されていた川手シェフは北海道の生産者やシェフなどにインタビューされました。

北海道でも規格外野菜などを有効活用した子供食堂などもオープンしていて、市場などでも売られるようになっているのですが、そこにも多数の問題が。流通にしても、多様性が求められるため同時にやることは難しいそう。決定的な解決策がないのが現実。

川手シェフが創り出した一皿

そこで川手シェフが廃棄されてしまう規格外のじゃがいもを使って素晴らしい一皿をご紹介されました。学会テーマでもある「イカ」と合わせています。

まずは土付きのジャガイモからエキスを抽出し、形の悪いジャガイモをピュレ状に。そこに北海道のイカを合わせています。
写真が取れなかったのが残念ですが、本来廃棄されてしまう食材が生まれ変わった瞬間でした。
ここでシェフは”料理人の作る一皿で価値観を変えられる”と。

実際フロリレージュでもクズ野菜なども取り入れているそう。シェフご自身のお店だけでは全てを変えることは無理なので飲食業回という垣根を越えた関係性を作ることが大事。

生産者は生産者なりに、シェフはシェフなりに、家庭は家庭なりに、小さな1歩かもしれないけれど、重ねていって欲しいとおっしゃっていました。

このご講演には場内の皆様非常に感慨深いものがあったようで、真剣に耳を傾け、食に携わる身として何ができるか、また家庭でも何ができるか、そんなことをとても考えさせられました。

学会が終わって成功、ではなく、学会が終わった後が大事なんだよ、とコメントされていた方のお一言が印象的でした。冒頭の動画はこちらでもみていただきたいです。